卓話概要

2020年09月08日(第1735回)
上智大学法学部国際関係法学科3年
深津 佑野氏

日米学生会議について

★日米学生会議は1934年に創設
 私は東京都出身で、1999年7月生まれです。現在、上智大学法学部国際関係法学科で国際法を学んでいます。
 昨年の第71回日米学生会議の参加者で、本年度、第72回日米学生会議の実行委員をしています。
 日米学生会議とは、「世界の平和は太平洋の平和にあり、太平洋の平和は日米間にある。その一翼を学生も担うべきである」という理念の下に活動しています。
 日米学生会議は、日本初の国際的な学生交流プログラムで、1934 年、満州事変以降悪化していた日米関係を憂慮した4人の日本人学生により創設されました。太平洋戦争勃発等に伴う会議中断を経験しながらも、86 年の歴史を有しています。
特色は、すべて学生自身の手によって会議の企画・運営を行っていることです。この会議のキーワードの一つは「本音の対話」です。
 日米学生会議のアラムナイ(OB・OG)には、第78代内閣総理大臣・宮沢喜一、元米国務長官・ヘンリー・キッシンジャー、元NHK副会長・今井義典、脳科学者・茂木健一郎といった方々がいらっしゃいます。

★主な活動内容
 主な活動内容のうち、「イベント編」としては、5月上旬:春合宿、6月中旬:防衛大学校研修、7月:自主研修、8月:本会議、翌年1月:米韓学生会議と共にトライラテラルフォーラム(実行委員のみ)といった活動を企画しています。本年は以上に加えて、11月に2度目の防衛大学校研修と秋合宿および冬会議を企画中です。
 「分科会活動」としては、28名の日米学生会議の参加者が、それぞれ自分の興味・関心に基づいてテーマを一つ選択し、そのテーマについて4か月、実行委員と共に話し合う、という活動を行っています。日米の参加者各4 名に加え、コーディネーターとして日米実行委員各1 名の、10名で運営しています。
毎週のミーティングにおける議論に加え、政府機関、国際機関、企業、大学、NGO、NPO および研究所などへの訪問研修を実施しています。

★第71回日米学生会議
 第71回日米学生会議のテーマは、「学生が紡ぐ日米平和〜対話と衝突から己を拓け〜」でした。開催地は、高知県、京都府、岐阜県、東京都の4都府県でした。
 大学に入って、英語が喋れるだけが国際人ではない、ということに初めて気がつきました。自分が日本人であるということはどういうことなのか、ということを他国の人に伝えられることが、国際人として必要なのではないかと考えました。それでこの年の日米学生会議に応募しました。その意味で、この会議は、日本人としてのアイデンティティを再考するよい契機になったと考えています。

★第5回日米韓トライラテラルフォーラム
このフォーラムは、ワシントンD.C.で開催され、日米学生会議と米韓学生会議の各実行委員が参加して行われました。日米韓それぞれの歴史認識問題等について議論することが主な目的でした。
日本、アメリカ、韓国のそれぞれの実行委員が考える、3か国の重大なイベントを5つ挙げるというテーマが出されました。日本側実行委員が韓国に対して、K-POPなどのポップカルチャーを主に話すのに対し、韓国側は歴史認識問題の重要な出来事を挙げることが多く、受けてきた教育や背景知識がまったく違うのだということを知って、すごく衝撃を受けました。

★第72回日米学生会議
 テーマは、「過去から未来へ日米平和の灯火を〜己と社会の価値観に挑め〜」です。
開催地は、サンフランシスコ、アリゾナ、インディアナの予定だったのですが、事前研修および夏会議は、新型コロナ感染症対策のため、すべてオンラインとなりました。冬会議は、ハワイで行えるように企画しています。
 今回は、過去会議で受け継がれてきた「価値観」を、オンラインでどのように形にするのか、スキップしないで今年行う意義は何なのか、といった全体的な問題も話し合いました。

★日米学生会議を通じて学んだこと
 私が日米学生会議を通じて学んだことは2つあります。
①「価値観の相違」は普遍的に存在する
* バックグラウンドが違えば、考え方やそれに伴う行動も違う
*「価値観の相違」を埋めようとするのではなく、その相違の存在を受け入れること
② 本質的な価値を見失わないことの大切さ
*「価値」とは一体なんなのか
* 受け継がれてきた、そして受け継がれるべき価値とは何か
日米学生会議での2年間は、“Life-Changing Experience”の連続だったなと思います。