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★哲学の3つの定義
大事な議論をするときに、まずしなければならないのは、その議論の中で使う予定のキーワードを定義することです。つまり、「私は哲学という言葉をこの意味で使います」という定義を示さなくてはなりません。
「哲学」の定義は、ルネサンス期まで(紀元前7世紀~16世紀まで)は、「すべての分野にその基本概念と方法論を提供する特別な分野」でした。
ルネサンス期まで哲学に入っていたもの(哲学の様々な領域)は、「論理学」と「存在論(「形而上学」)」;「自然学(古代の物理学)」、「認識論(「知識論」と「サイエンス学」)、「美学」;「倫理学」、「政治論」、「霊魂論(古代の精神学)」、これらが全部入っていました。これらは「学問としての哲学」です。
このほかに「科目としての哲学」があります。学校で教える哲学は、基本的に科学思想のベースと歴史、倫理思想のベースと歴史、政治思想のベースと歴史です。
もう一つ「姿勢としての哲学」があります。これを私は「基本的な態度」として扱っていますが、それは「これまでの様々な考え方や捉え方を学び、理解し、それらの前提・妥当性の範囲・限界(リミット)を特定して、乗り越えようとする態度」です。言い換えると、「自分の時代と文化からの影響を超えたところで考える試み(言われてきたことを、これまでとは違う視点から考える試み)」ということになります。
以上、「哲学」の定義には、
① 学問としての哲学
② 科目としての哲学
③ 姿勢としての哲学
この3つがあることになります。
★「哲学」の様々な領域(理論哲学)
先ほど挙げた「哲学の様々な領域」とは、具体的にどのようなものか。
① ロジック=論理学(ロジック:ロゴス=~についての話/~論)
正しく考えることとは何か? 正しい考察の仕方とは何か? どのようなルールに従って考えればいいのか?
② オントロジー=存在論
存在とは何か? 存在することとは何か? 存在(存在するものの総体=万物=リアリティー)の特徴とは何か?
*メタフィジックス=形而上学(形而上=物理的な次元を超えたもの;目に見えないが、存在するというもの=超物理的な認識対象)
万物の根源とは何か? 万物の基本的な構成元素とは何か?(現代では物理学と共通)
③ 自然学(古代の物理学)
自然現象(目に見えるもの)の原理と特徴とは何か?
④ グロゼオロジー=認識論
私たちはどのように目に見えるものと目に見えないものを認識することができるのか?(私たちに世界の認識を可能にしてくれる要素を研究)。
*エピステモロジー=知識論とサイエンス学
確かな知識(エピステーム=誰とでも共有できる知識、自明の知識)とは何か? どのように手に入れられるのか? 人間的な知識の基本概念とカテゴリーはどのようなものなのか?
ここまでは「理論哲学」です。
★「哲学」の様々な領域(実践哲学)
次は「実践哲学」です。
⑤ エステティックス=美学
美/美しいとは何か? 美しい生き方とは何か? 美というものにはどのようにたどり着けるのか? 「美しい」というものについて我々はどこまで客観的に論じることができるのか? (「美しい」というものの前では、我々は魅了されて圧倒される側で主役ではないから!)
⑥ エティックス=倫理学
一人の人間として正しいこと/正しい振舞いとは何か? 正しいことをすれば幸せになれるのか? 幸せとは何か?
⑦ ポリティックス=政治論
個人としてではなく共同体=社会として正しいこととは何か? 共同体はどうあるべきなのか? 理想的な共同体はどのようにつくれるのか?
⑧ サイコロジー=霊魂論/精神学
たましいとは何か? どのように出来ていて、どのように機能しているのか? 死後にどこに行くのか?
(このうち、⑥⑦⑧は結論の部分!)
★私の「哲学」の教え方
日本での、これまでの教え方は:
① 一般レベル:倫理学として教える=哲学者たちの結論の部分、一般の人の生活にも関わっていそうな部分のみを教える。
② 専門的なレベル:「世界文学の古典を読もう」というアプローチ(=文献学)として教える=哲学者たちの著作からあちらこちら文章を引っ張って、読んだり、言葉の意味について考えたりする。
一方、私の教え方は:
我々ヨーロッパ人が2000年間も受け継いで消化して纏めてきた内容(高校で学んでいる内容)を提供します。
哲学を生活のどの側面にも使える「生きた思想」としてお伝えします。昔からの哲学者たちの何が今の私たちの生活の中でもまだ生きているのか、これをお伝えします。