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★「ウクライナ」とは「辺境」の意味
私の会員卓話は、今回で3回目です。第1回は1993年2月に「ロシア今昔」、第2回は2018年9月に「ダイヤモンドの価値は?投資の対象か?」というタイトルでお話をしました。
今回はいま世界中が注目しているウクライナについてです。
まず、「ウクライナ」という意味ですが、「ウ」は「脇」、「クライ」は「囲い」、そして「ナ」は「場所」や「方向」を表します。したがって「ウクライナ」は、「田舎」「地方」「辺境」といった意味になります。
ウクライナの国旗は、青と黄色の2色から成っています。青は空、黄色は麦畑を表していると言われています。私も実際に車でずいぶんウクライナを走りましたが、行けども行けども麦畑、地平線の彼方まで麦畑が続いています。それが夕日を浴びると黄金色に輝いて、それはそれはきれいな景色です。それほど豊かな穀倉地帯です。
★ウクライナは農業国であり工業国でもある
ウクライナは、東がいま侵攻されているロシア、北がロシアとベラルーシ、西はポーランド、ハンガリー、スロバキア、南はルーマニア、モルドバなどの国々に囲まれ、黒海に面しています。
面積は約60万3700km2で、日本の約1.6倍です。人口は約4,553万人。ロシア侵攻前の国民構成は、ウクライナ人78%、ロシア人17%、ベラルーシ・ユダヤ人5%でした。
首都はキエフ(キーウ)で、人口は約285万人。主な産業は農業です。黒海で漁業も行われています。いまロシアに占領されている東部にはドネツク炭田があり、製鉄業が盛んでした。ウクライナ兵が立てこもっていたマリウポリの製鉄所はその最大のものです。
ウクライナは工業国でもあります。ロシアが衛星などを打ち上げるロケットは、ほとんどがウクライナ製でした。また「アントノフ」という世界最大の航空機の製造工場もウクライナにあります。
★キエフの研究所とビジネスを
1979年12月、当時、取引先であった商社の日商岩井(現在の双日)の本社から紹介をいただきモスクワに行きました。モスクワの当時の店長だった方がたいへん顔の広い人で、工業用のダイヤの話をするのだったら、工作機械工業省の大臣に会う必要があると言われ、彼と一緒に訪問しました。そこのダイヤモンド総局という部署で、すべてのソ連圏におけるダイヤモンドの状況について詳しく説明を受けました。
その中で技術的に最も優れているのが、ウクライナの「キエフ超硬材料研究所」であることを知り、帰国後に改めてコンタクトを取って、翌年2月、研究所を訪問しました。
何度も通って話をしながら、工場の中を見せてもらったり、技術交換をしたりして、今後ビジネスとしてちゃんとやっていけるかどうか詳しく検討しました。
★ウクライナの歴史
ウクライナは、紀元前にはスキタイという騎馬民族が支配していました。
8世紀頃になってキエフ・ルーシ(キエフ公国)という独立国家ができるまでは、まとまりのない政治情勢が続いていました。
1223年頃、モンゴルが侵攻してきて、キエフ・ルーシはその支配下に入りました。
キエフ・ルーシは、ロシア、ベラルーシ、ウクライナからなる国でしたが、分裂してのちにモスクワ公国という国になりました。
その後はヨーロッパが進出してきて、ウクライナの8割はロシアが、2割はポーランドやオーストリアが占めるという状況が、第一次世界大戦まで続いていました。
1917年のロシア革命後、一時ウクライナ国家ができたのですが、すぐに崩壊し、結局1922年にウクライナは、ソビエト社会主義共和国連邦の一部になってしまいました。
そして1991年のソ連崩壊とともに、ウクライナは独立国家になりました。
しかし2014年に、ロシアによるクリミヤ併合、東部のドネツク、ルガンスクの独立宣言などがあり、今年2022年2月24日、ロシアの全面侵攻という事態に至ったわけです。
★ロータリーとしてやるべきこと
1986年、チェルノブイリの原発事故がありました。キエフとチェルノブイリとの距離は110kmしかありませんが、幸い風の向きによって、キエフは最悪の事態を免れました。
その頃、私はキエフのロータリークラブを何回か訪れて、何か国際協力ができないかと申し入れをしました。私には、チェルノブイリの子供たちのために図書館を作って本を贈ろうというアイデアがあったのですが、キエフのRCはもっと大きな投資を望んでいて、結局うまくいかなかったということがありました。
今回のロシア・ウクライナ戦争においても、戦争が終わった後、ウクライナはどうなるのかと考えたとき、ロータリーとしてもやることがあるだろうと私は思っています。