卓話概要

2021年11月16日(第1768回)
シンク・エイ株式会社 代表取締役
松本浩氏

ゴールを実現するための脳の使い方②

★ゴールは再設定することが大事
 前回、パフォーマンスを最大化するゴールの設定方法として、
① 自分の望むことをゴールとして設定する
② ゴールは複数持つ
③ ゴールはできるだけ遠く、現状の外側に置く
この3つを挙げました。
 ただし、ゴールはあくまでも通過点なので、再設定することが大事です。月に一度は見直してみましょう。

★1日5万回のセルフトーク
 さて、人は1日に5万回、「セルフトーク」をしていると言われています。つまり、頭の中で無意識に5万回、自分に語りかけているのです。
 これがパフォーマンスを決定づけるものなのです。それを大きく2つに分けると、
① ポジティブなセルフトーク
② ネガティブなセルフトーク
になります。では、どちらが多いでしょうか。一般的にはネガティブのほうが多いと言われています。
 言葉は映像を生みます。映像は感情を誘起します。「言葉と映像と感情」がワンセットになっているのです。これが何度も繰り返されると、「自分はこういう人間なんだ」という自己イメージを作ります。
 たとえば、自分は大チャンスに弱いとか、人前で話をするのが苦手だとかいう自己イメージを作っていくわけです。すると、それによってコンフォートゾーンができるのです。
 最初の起点は、言葉です。言葉が自分のパフォーマンスを決めてしまうのです。
 そもそもセルフトークはどのようにできたのでしょうか。発達心理学によると、成人した人の物事の判断基準の80%は、親の物真似だと言われています。親の言葉が自分の言葉になっているのです。つまり、自分の言葉は外部からの声によってできるということです。親だけでなく、先生、友人、上司など、人の言葉が自分の言葉になっていくわけです。そして、その言葉が自分のパフォーマンスを決めるということです。

★ゴールを基準にしたセルフトークを
 そこで、実現したいゴールがあるのであれば、そのゴールを基準に自分の言葉を作りましょう、ということです。やりたいことがあれば、「できる、できる」と思ってやることが大事なのです。これは個人だけでなく、組織やチームでもそうです。
 輪ゴムを手首にはめておいて、自分が1日のうちにネガティブなことを言ったら、あるいは自分のゴールに相応しくないことを言ったら、「パチッ!」と弾いてみましょう。そしてポジティブな言葉に置き換えてみてください。地道なようですが、実はこうした積み重ねが大事なのです。
 つまり、セルフトークは基本的にネガティブなので、ゴールを基準に変えていきましょう、言葉をコントロールして、ゴール側のコンフォートゾーンの臨場感を高めていきましょう、ということです。

★エフィカシーとは?
 「エフィカシー」という言葉があります。これは、ゴール達成において最も重要なことです。
 エフィカシーとは、「自己のゴールを達成する能力に対する自己評価」のことです。
 皆さん、自分の実現したいことを頭の中に一つ思い浮かべてください。そして、そのゴールを実現する能力に対して、直観でいいですから、0点~100点で点数をつけてください。
 いま頭に思い浮かべた点数が、エフィカシーです。言い換えると、「自分ならできる」という確信度合がエフィカシーです。これがゴールを達成する上で最も重要なことなのです。
 ゴールとエフィカシーは両輪、ワンセットです。ゴールを設定したら、エフィカシーを下げないことです。実現したければ、「できる、できる」を続けることです。

 ここでエフィカシーにおいて重要なことが2つあります。
① 自己評価である
 他人からの評価ではありません。高いエフィカシーを持つためには、自分の評価は自分で決めることです。
② 過去ではなく未来の話です
 未来の話に対して、自己評価を高めていくということです。自分の評価は、過去によらず、未来のなりたい自分から作りましょう、ということです。

★周囲の人のエフィカシーも高めましょう
 こうして、皆さんのエフィカシーが高まったら、もう一つ重要なことがあります。
 それは、周囲の人のエフィカシーを高めることです。「自分ならできる」と自分のエフィカシーを高めるとともに、「君ならできる」と周りの人たちのエフィカシーも高めていきましょう。
 ゴールには階層性があって、自分のことだけではなく、家族、会社、業界、世界…、とだんだんスケールが大きくなってきます。
 私も含め、人生経験豊かな皆さんが、これからの時代を生きていく若者たちを応援するために、「君ならできる」と彼らのエフィカシーを高めていくことができればと思います。