卓話概要

2026年03月31日(第1925回)
株式会社Criacao代表取締役社長 CEO
丸山 和大氏

サッカーを活かし、地域に貢献する
~新宿からJリーグ、そして世界へ

★JFLの「クリアソン新宿」
 私たちの「クリアソン新宿」は、新宿にあるサッカークラブです。Jリーグの一つ下のJFLというアマチュアのトップカテゴリーで競技をしています。
 新宿区には国立競技場があります。3月20日にここで6回目のホームゲームを行いました。J1のクラブが4万人、5万人の観客を集めるのに比べると、まだまだ人数は足りませんが、昨年の国立ではJFL歴代最多の1万6755人の観客を集めることができました。

★真の豊かさを創造
 私は神奈川県出身で、桐蔭学園という全国大会に4年連続出ていた高校でサッカーをしていました。その後、立教大学ではサッカー愛好会というサークルに入り、経験者から初心者、飲み会が好きなメンバーなど「これだけ多様な人を巻き込むことができるんだ」とサッカーの力に触れたことが原体験になりました。
 2006年に伊藤忠商事株式会社に入社し、食品カンパニーで7年間、営業に従事しました。
 そして2013年にサッカークラブの運営会社である株式会社Criacao(クリアソン:ポルトガル語で「創造」の意)を起業し、この4月で14年目になります。
 会社のミッションとしては、「スポーツの価値を通じて、真の豊かさを創造し続ける」を掲げています。「豊かさ」というのは、競技に勝った負けただけでなく、ピッチ外の活動も大事だと考えているからです。
 いま社員は60名いますが、選手も社員として雇用しています。社員のうちの25名は、午前中に練習をして、午後からはオフィスに来たり、地域活動に出向いたり、パートナー企業さんと一緒に活動したりしています。おかげさまでパートナー社数は260社に増えてきました。

★年間400回以上の地域活動
 起業して最初にしたのは、都庁裏の角筈シニア館という高齢者施設に、週1回半日ぐらいボランティアに行って、お年寄りにコーヒーを出すということでした。
 普通だったら、あちこちに行って「自分たちのチームを応援してください」というアプローチになると思いますが、そうではなく、地域の方々にとって私たちが本当に必要な存在になれるのかどうか、という視点から、まずサッカーからいちばん遠いところにいらっしゃる高齢者の方々が何を考えているかを知りたい、と思ったからです。
 もちろん最初はなかなか理解されませんでしたが、1年、2年経っていくうちに、だんだんと仲間になっていただくことができました。
 こうした地域活動をさまざまな形で始めて、今では年間400回以上の活動を行っています。我々が特徴的なのは、選手も直接関わって地域活動をしていることです。
 このような活動が徐々に根づいたことで、国立競技場に1万6000人以上の方々が集まっていただいたのではないかと思っています。
 JFLの1試合の平均入場者数は1000人前後です。J3で3000人、J2では7500人ぐらいです。私たちは今季、平均で5000人に近づけられるようチャレンジしたいと考えています。

★地域課題解決
 新宿を中心に、地域のパートナー企業さんと連携して、子供向けの出張社会授業のようなことを行ったり、高齢者施設を回ってサッカーボウリングを行ったり、小学1年生のランドセルカバーに「くりあにゃん」というマスコットを付けてもらって交通安全の意識を高めたりしています。私たちが地域の一つのプラットフォームになって、皆さんと連携していろんなことをやっていこうと思っています。
 また、うちの選手がパートナー企業さんの担当になって定期的に訪問させていただき、いろんなイベントを行ったり、ブラインドサッカーを使って目隠しをした中でコミュニケーションをとり、チームビルディングをするようなワークショップも私たちは持っていますので、そういったさまざまな課題解決をするお手伝いもさせていただいています。

★「世界一」を目指していきたい
 「セカンドキャリア」の問題が大きくのしかかっていますが、私は、選手は現役のうちからサッカーだけでなく、社会活動を通じて、地域や企業の方々と接点を持って、社会性を身につけていくことが大切だと思っています。周囲のさまざまなステークホルダーの皆様と交流させていただく中で、サッカークラブが一つあるだけで、地域がより豊かになっていく、そんな世の中を実現していきたいと思っています。
 かつて日本は「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と言われていましたが、最近は「世界一」というと、ちょっと恥ずかしくて、逆に周りから批判されるような雰囲気があるように思います。
 しかしそんな時代だからこそ、あえて私は「世界一」を目指していきたい、そして本当にそれを成し遂げたときに、やはり日本人というのはやれるんだな、ということを世界に示したいなと強く思っています。