卓話概要

2020年07月14日(第1730回)
㈱エアークローゼット代表取締役社長兼CEO
天沼 聰氏

シェアリングエコノミーの発想と活用

★エアークローゼットの3つのサービス
 エアークローゼットは明日(2020年7月15日)で会社設立6周年を迎えます。私は8月で41歳になります。
 私は小さい頃からパソコンなどITが大好きで、ロンドン大学でITを学びました。帰国後、アビームコンサルティング、楽天を経て、2014年に、仲間3人と今の会社を創業しました。
 社員数は現在、業務委託やインターンを含めて100名弱です。
エアークローゼットの3つのパーソナルスタイリングサービスは、
① airCloset
 オンラインの月額制ファッションレンタルサービスです。
② airCloset×ABLE
 不動産大手のエイブル様と協業させていただき、リアルなレンタルショップを表参道に設けさせていただいています。
③ airCloset Fitting
 eコマースで商品を売らせていただくというサービスです。
 特徴的なのは、3つのサービスとも、お客様が選んで買うというこれまでの形から、スタイリストがお客様にお似合いになるスタイリングをご提案させていただいて、“ファッションとの新しい出会い”をご自宅や店舗で体験していただけるというスタイルになっていることです。
 airClosetは「国内最大級のファッションレンタルプラットフォーム」と謳っています。世間ではウェデングドレスなどの貸衣装はこれまでもありましたが、私たちの特徴は、女性の普段着に特化したファッションのレンタルサービスを、日本で初めてスタートさせたことです。
 もう一つの特徴は、月額制(サブスクリプション)で借り放題の仕組みとしたことです。
 そしてもう一つ重要な特徴が、スタイリストがお客様にスタイリングを提案する点です。

★ワクワクするようなサービスを
 私たちは、サービスを使ってくださったお客様の時間の価値が少しでも高まって、ワクワクするようなサービスが作りたいと考えました。そこから、私たちの会社のヴィジョンは、「“ワクワク”が空気のようにあたりまえになる世界へ」としました。
 私たちはレンタルをやろうということで起業したわけではありません。レンタルはあくまでも手段だと思っていて、その目的は、人の生活の中にお洋服との新しい出会い体験をたくさん作ろう、ということです。
 そのためにまず、オンラインのサービスにしました。お客様がこれを借りたいというふうに選ぶスタイルではなく、私たちのスタイリストがお洋服を選ばせていただいて、ご自宅に郵送する、そうすることでお客様の好みに偏ることなく、たくさんのお洋服に出会っていただける、と考えました。
 また返却期限をなくして、クリーニングも私たちでさせていただく、それを月額定額のサービスとして、借り放題の仕組みにしよう、と考えました。
 お客様の平均年齢は30代後半で、お仕事をされている方が9割以上、ママさんが4~5割です。忙しい女性の方がサービスを楽しんでくださっている、ということができると思います。
 現在、35万人ぐらいの方にご登録いただいています(2020年7月現在)。ただし、この中には無料会員様も含まれているので、実際にはうち一部の方々にサービスを使っていただいている、という状況です。

★3つの軸を基本に
 私たちが向かっている方向としては、女性向けのお洋服との出会いだけでなく、たとえばアクセサリーや、レディースだけでなくメンズ、シニア、キッズ、マタニティなど、出会いの柱を多く作っていく事業を考えています。東南アジアなど海外への展開も考えています。最近はairClosetでサイズ展開を広げ、プラスサイズ、小さいサイズのお洋服との出会いも増やしていって、かなり好調に数字が伸びている状況です。
 いま、私たちは3つの軸を基本に置いています。
① 情報もサービスもこれまでマスに提供されてきたのですが、今後はITの力を使って、お一人お一人にパーソナルな情報・サービス提供が増していくと考えています。
② モノよりもコト。体験が重要視されていくので、コトを大切にしたいと思っています。
③ お金の価値も当然大切ですが、これからはより一層、時間の価値が大切にされていくと思います。
これらをどう実現するのか。テクノロジーはあくまでもツールです。私たちはプラットフォーマ―として、ブランド様、メーカー様とお客様との出会いを届けること、そして、それらを実践する私たちの組織がたいへん大事だと思っています。
私は、ウォルト・ディズニーの「ディズニーランドは、人々に想像力がある限り、完成しない」という言葉が大好きです。常に進化していくことが、自分たちが生き残る唯一の道だと思っています。