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★カメラマンと写真家
「カメラマン」というのは、企業とか雑誌社とか広告代理店とか、お客さんがいて、お客さんから撮影を依頼されて仕事をする人、「写真家」というのは、自分が好きな写真を撮って、それを写真集とか個展とかで発表・発信して、それを購入してもらう人、と自分では思っています。
私は今まで89の雑誌、その中で58の雑誌の表紙を撮らせてもらいました。主に人物を中心に撮っているカメラマンです。
★すてきな人たち
落語家の立川談志さんは、5枚ぐらい写真を撮ると、もう機嫌が悪くなりました。でも、談志さんのキャラクターからすると、笑顔ではなくて、むしろ機嫌が悪いときの表情のほうがいいかな、と思ってシャッターを押しました。私としては、談志さんらしい写真が撮れたなと思っています。
五木ひろしさんの写真は、飼っている2匹のトイプードルと一緒に撮ることになりました。しかし、「犬もカメラ目線で撮ってね」と言われて、弱ったなと思いました。犬が、しかも2匹同時にカメラ目線になるのは、あり得ないことを知っていたからです。ところが、いざ撮影に入ると、五木さんが「はい、お行儀!」と言った瞬間、それまでキョロキョロしていた2匹の犬が、シャキッとこっちを見たのです。
ハリウッド・スターのジョージ・クルーニーさんは、ホテルの一室で、3分で撮らせてもらいました。白いシャツに黒のジャケットというシンプルな装いでしたが、どんな格好をしていてもすてきだな思いました。撮影が終わると、彼はスタッフ一人ひとりに「ありがとう、ありがとう」と言って握手をしながら、最後にドアのところでもまた、「今日は、ありがとう」とみんなに言って帰っていきました。その途端、スタッフ全員が彼のファンになりました。
日本の俳優の水谷豊さんは、初対面のとき、こちらに非常に気を遣ってくれました。いろんなことを向こうから話しかけてきて、コミュニケーションを取ってくれました。水谷さんも、撮影が終わると、クルーニーさんと同様、スタッフ一人ひとりと握手して、「今日は、ありがとう」と言いながら帰っていきました。このときも、スタッフ全員が水谷さんのファンになりました。
矢沢永吉さんは強面なので、初対面で、こちらはドキドキしていました。撮影のとき、ご本人が、約束の時間より15分ぐらい遅れて来られました。矢沢さんはスタジオに入ってくるやいなや、私たち全員に、「今日は遅れて申し訳ない」と、頭を下げて謝りました。15分ぐらいの遅れで、そんなに謝られて、むしろ私たちのほうがびっくりしました。また、スタイリストがその日に矢沢さんが着る服を10着ぐらい用意して、「この中から好きなのを選んでください」と言うと、矢沢さんは、「君たちプロが矢沢のために選んでくれたのだから、君たちがいちばん着てほしいと思うのを着るよ」と言ってくれて、なんてカッコいいんだろうと思いました。
俳優の渡辺謙さんは、ニューオータニのこの部屋の隣で撮影しました。それから2週間後、長野方面に行くので、新幹線のホームで列車を待っていました。そのとき私の肩を後ろからポンポンと叩く人がいて、振り返ると渡辺謙さんでした。満面の笑顔で「こんにちは」とあいさつされて、私はとっさに「マジですか?」と言いました。すると謙さんは、「はい、マジです」と応えました。私のことを覚えていてくれたんだと思うと、胸がキュンとなりました。
★これからは「チーズ」でなく「うれしいー」
写真を撮られるとき、「笑顔をお願いします」と言われても、カメラの前でなかなか笑顔にはなれないものです。そのとき確実に笑顔になる方法があります。それは、「何のために笑顔になるのか」を考え、それを明確にすると必ず笑顔になれます。
私の今までの経験では、たとえば経営者の方などに対しては、「会社のお客様に対して、自社の商品を購入していただいて、ありがとうございますという気持ちで」と私が言うと、表情がガラッと変わります。
気難しそうな政治家の場合は、「あなたのこの写真がポスターになって有権者が見るので、全国の有権者に向けた笑顔で」と言った瞬間、ガラッと笑顔に変わります。
むかし流行った「はい、チーズ!」というのは、歯は見えていても、目が死んでいるのです。そこで私が考えたのは、心がこもらない「チーズ」ではなくて、「うれしいー」です。これは声に出してもいいです。「うれしいー」も「チーズ」と同じく、母音が「i:」なので、歯が見えます。「チーズ」は目が死んでいますが、「うれしいー」は、心だけでなく目も笑顔になるのです。これからは「チーズ」でなく「うれしいー」です。笑顔の写真が必要なときは私にお任せください。
私が毎年、年賀状に書いている言葉があります。それは、
「笑う門には福来る」
「笑う人には福来る」
「人を笑顔にする人には大福来る」
この3つです。