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★日中関係
中国には日系企業約3万1300社が進出していますが、現地唯一の日系企業の親睦団体である北京の「中国日本商会」が実施した日系企業1741社の調査結果を5月に発表しました。
それによると、「過去3か月の売り上げ」「中国国内の景況感」「今年の投資額は昨年と比べてどうか」「中国国内の今後の景況予測」「中国市場をどう考えるか」などの点について、現地の日系企業の人たちが、中国経済を非常に悲観的に見ているという結果が出ています。
今年の5月にソウルで、岸田文雄首相と李強首相の初めての首脳会談が行われました。日本側は、①日本産水産物の輸入再開、②日本人拘束者の即時解放、③尖閣諸島EEZに中国が設置したブイの撤去、④日本人の中国へのビザなし渡航再開の、いわゆる「懸念4項目」を中国側に要求しましたが、「ゼロ回答」に終わっています。
中国は「新時代の要求にふさわしい中日関係を構築する」として、日中国交正常化50周年の2022年以降、習近平新時代の要求にふさわしい「上から目線外交」を進めているのです。
★中国経済
中国経済は非常に悪く、第2四半期のGDPもついに5%を割って4.7%になりました。中国経済は「消費」「投資」「輸出」の3本柱で成り立っていて、うち消費と投資が振るわなくなって、今輸出に頼っているのが顕著になっています。
中国経済の方針を定める7月の「三中全会」でも大胆な改革を決められず、「三中全会暴落」と言われるように、中国株は大暴落しました。
特に悪いのは不動産です。最悪と言われた去年より、さらに一段悪くなっています。No.1の「恒大」とNo.2の「碧桂園」が事実上の破綻状況にあります。政府は5月に不動産の「4つの改革」を宣言したのですが、空回りしています。
8月に「北戴河会議」で、長老たちが習近平主席の経済・外交政策を叱責したのではないか、と私は推測しています。
★中国の外交
先月、習近平主席がサリバン米大統領安保補佐官と会談しました。中国は、「相互尊重」「平和共存」「協力共勝」に基づいて中米関係に対処していくという原則は変わらない、としています。
中国はトランプ氏を恐がっています。トランプは強くて予測不可能だからです。しかもバンス副大統領候補も中国嫌いです。ですから中国は、米大統領選ではぜひカマラ・ハリスに勝ってほしいのです。しかもウォルツ副大統領候補は生粋の親中派です。先のサリバンとの会談では、ハリス氏への全米400万人の中華系動員を画策したのではないか、とも推測されます。
しかし「もしトラ」になるかもしれないので、中国としては、ヨーロッパを味方につける作戦に出ています。ドイツのショルツ、フランスのマクロン、ロシアのプーチン、イタリアのメローニらと頻繁に会談しているのです。
★中国の国内政治
私が「習近平の5原則」と呼んでいるのは、以下のようなことです。
①毛沢東>鄧小平
②権力闘争>経済効率
③社会主義>市場経済
④国有企業>民営企業
⑤軍事台頭>国際協調
こういう方針でずっとやってきて、その結果、経済が滅茶苦茶になって、いま混乱しているという状況です。
ゼロコロナ政策をやって、経済がボロボロなので、国民は本当は経済政策に力を入れてほしいのです。しかし去年3月の国家主席の再任演説でも、「安全は発展の基礎であり、安定は強盛の前提である」ことを強調し、「総体国家安全観」という観点から、政権への批判を許さない姿勢を明確にしました。
香港に対しても、「国家安全条例」を制定して、アメリカなどからの干渉を締め出しています。
★中台問題
台湾については、中国がいちばん嫌いな頼清徳が5月に総統に就任して、一層関係が悪くなったという状況です。
しかも人気のある副総統の蕭美琴は、母がアメリカ人で、台湾独立派として中国は強く警戒しています。
いま台湾と国交を持っている国が12か国ありますが、中国は外交でこれをゼロにしてやろうと潰しにかかっています。
「台湾有事」には、3つのケースがあります。
①習近平主席が、台湾をすぐに取れると勘違いする場合。
②経済がもっと悪くなり、暴動などが起こって、外に目を逸らそうとした場合。
③習近平主席は望んでいないのに、人民解放軍が勝手に暴走した場合。
私は③が怖いなと思っています。
もちろん、台湾有事が「日本有事」であることは間違いありません。台湾・中国の在留邦人や先島諸島の住人の退避、ボートピープルの避難民、尖閣諸島・先島諸島の防衛、台湾・米国からの自衛隊出動要請、シーレーンの確保など、さまざまな問題に直面するからです。