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★私たちはどんな時代に生きているのか?
今の時代は後世から見ると、科学技術のパラダイムシフトが非常に加速した時代だと評価されるのではないかと思います。
人工知能は、言葉や画像を生成するようになりました。医療・ライフサイエンス・バイオテクノロジーでは、生物の基本単位である細胞を人工的に作れるようになりました。脳科学では、脳の中にチップを埋めたりして、人間の睡眠や集中力をコントロールできるようになりつつあります。何でも解いてしまう量子コンピュータや、どんな手法でも絶対に破れない量子衛星通信など──こういうことが2000年以降急激に起きているのです。
★宇宙開発における米中対立
米中の科学技術分野での対立の構図を、いくつか個別の例で示したいと思います。
その中で宇宙開発は、一つの国が総力を挙げて、多くの資金・人・技術などを動員して行うもので、ある意味、科学技術全体を評価するバロメータの一つだと思います。
1972年の米国のアポロ17号以降、50数年にわたって、人類は月に足を踏み入れていません。21世紀になって初めて月へ行くのは、米国人なのか中国人なのかという激しい競争になっています。
米国は2019年から「アルテミス計画」で有人月面探査に挑戦しており、2027年以降実施を予定しています。一方中国は、2004年から「嫦娥計画」を行っていて、2030年までに実現するのを目標にしています。国威発揚、技術力の誇示という意味で、中国の科学技術は米国と肩を並べるところまで来ているといえます。
「低軌道衛星コンステレーション」の分野では、米国のスターリンクはすでに1万基以上打ち上げられています。「空さえ見えていれば、どこでも通信が繋がる」ということです。これは安全保障上非常に重要です。中国はこの分野で出遅れましたが、「国網」や「千帆星座」がそれぞれ1万基以上を計画しています。残念ながら、日本にはこうした計画はありません。
「宇宙ステーション」においても、米中は「ISS」と「天宮」が激しい競争を続けています。
今まで中国しか成功していない「量子通信衛星」というのがあります。これは絶対に破られない暗号通信といわれているもので、中国はすでに「墨子」と「済南」という衛星を、2016年と2025年に打ち上げています。
★中国のAI革命─DeepSeek
2025年1月に「DeepSeek」という中国の人工知能がリリースされました。2022年11月に「ChatGPT」が出た後、2年あまりで性能がほぼ並んでしまいました。半導体(GPU)はGPTよりはるかに少ない数で、コストは20分の1ということで、世界的に注目を集めました。
DeepSeekの意義としては、
① 米国の半導体輸出規制という地政学的ハンディの中で高性能を実現
② オープンソースが短期間でクローズドシステムと同等の性能を実現
③ 大量の高性能GPU、大規模パラメータ、増大する消費電力からの脱却
④ 「追いつけ」から「追い越せ」へのギアチェンジ
などが挙げられます。DeepSeekの社長・梁文鋒氏は「中国は便乗ではなくイノベーションに貢献する側に回らなければならない」と言っています。
★杭州六小竜
中国の杭州に「六小竜」というベンチャーがあります。人間のようなヒューマノイドのロボットや、ゲーム、AIの産業用四足歩行ロボット、3Dデザイン・プラットフォームなどを作っている会社がたくさん集まっています。
その中の会社「強脳科技(BrainCo)」では、脳と機械の融合によって、睡眠やメンタルヘルスの改善を行ったり、義手や義足を作ったり、マインド・マシン・インターフェイス(MMI)といって、人間の心まで機械とつなげることも試みられています。
★中国は圧倒的優位に立った
「世界の研究力ランキング」「研究開発費総額推移」「科学技術政府予算推移」「研究者数推移」「論文数・引用度」「高被引用度の論文著者数」「世界大学ランキング」「国際特許出願数」「中国人留学者数推移」「米国大学での博士号取得者数」──こうしたさまざまな統計を見ても、中国の近年の進展ぶりは群を抜いています。
世界のシンクタンクも米中の科学技術力について、
*米国は明らかに研究開発とイノベーションのリーダーとしての地位から転落した
*将来、制裁で主導権を握るのは米国ではなく中国の可能性がある
*中国はほとんどのテーマで圧倒的優位に立った
といった見方をしています。
最後に、これから人口が減る、資源やエネルギーが無い、食料自給率も低い、そういう日本はこれからどうしたらいいのか。国土の強靭化、教育、研究開発などはもちろんですが、外に敵を作って経済安全保障とか言っていないで、どこの国とも仲良くできる、日本にはそういう生き方しかないのではないかと思っています。沈没しないで、平和で安定して、生き生きとした日本であるためにはどうしたらいいか、皆さんもぜひ考えていただきたいと思います。