卓話概要

2023年10月17日(第1835回)
地区米山記念奨学委員長
粕谷啓之氏

米山記念奨学事業について

★米山記念奨学事業とは
 ロータリー米山記念奨学事業は、日本のロータリーが作り育てた独自の事業で、34地区、全地区が参加する多地区合同活動です。
 1952年に事業が始まって以来、一貫して、日本で学ぶ外国人留学生を支援しています。
 「公益財団法人ロータリー米山記念奨学会」というのは、この事業をおこなうために、日本のロータリーが協同して運営する奨学財団で、財源はすべてみなさんからのご寄付で成り立っています。
 この奨学金の最大の特長は「世話クラブ・カウンセラー制度」です。米山奨学生には世話クラブの例会や活動に参加してもらい、交流することを大切にしています。

★米山奨学生について
 米山記念奨学事業は、外国人留学生を対象とする民間の奨学金では、国内最大規模です。
 2023学年度は、日本全国で900人(前年度897人)が採用され、各ロータリークラブでお世話をいただいています。累計では、今年2カ国増え、世界131の国と地域から2万3,509人を支援しています。
 累計では中国、韓国、台湾が多いですが、ここ数年でベトナムからの留学生が急増しており、現役奨学生の中では中国に次いで多くを占めています。
 第2750地区は、2022学年度までに62の国と地域から、1,499名を預かりました。今年度は48人の奨学生を受け入れています。

★寄付金の種類
 昨年度、2022-23年度の寄付金収入は、14億2,292万円(前年度13億4,579万円)と、その前の年度から7,700万円増加となりました。
 米山奨学会への寄付は大きく2種類です。
 クラブから会員数分を納める「普通寄付金」と、それ以外に、個人・法人・クラブから任意で出す「特別寄付金」です。
 「普通寄付金」は、かつて米山奨学会が財団法人を設立しようとした際、当時の文部省はなかなか首を縦にふってくれませんでした。そこで、普通寄付金の確約を国内全クラブからもらい、安定財源とすることを約束したことにより、ようやく財団法人の設立の認可が下りたという経緯があるもので、大切な役割を担っています。
 「特別寄付金」は、任意でしていただくものです。こちらは個人やクラブ、法人の実績となり、表彰の対象となります。
 米山奨学会への寄付は寄付金控除の対象となり、確定申告をすれば、所得税、法人税の税制優遇を受けることができます。

★寄付金の状況
 昨年度の全国の個人平均寄付額は16,960円で、前年度より989円アップしました。
 最も高かったのは、第2590地区(神奈川県横浜市・川崎市)で27,903円でした。
 当2750地区の一人あたりの平均は17,565円で、全国で10番目でした。
 特別寄付者の割合では、全国平均は47.3%で、当2750地区は40.5%でした。
 全国トップは第2650地区(福井・京都・奈良・滋賀)で、84%もの会員が特別寄付をしています。
 ちなみに東京西南ロータリークラブさんは、個人平均寄付額17,214円、普通寄付金5,000円、特別寄付金12,214円、特別寄付者割合28.60%となっています。

★巣立った米山奨学生
 巣立った奨学生のOB組織「米山学友会」は、日本に33、海外に10あります。
 2023年5月には、新たにベトナム南部(ホーチミン)を拠点とする「ベトナム南米山学友会」が設立承認されました。
 米山学友による世界大会は、国内外の学友会が持ち回りで主催する大きな大会です。今年つくばで開かれた「再会in関東」は、関東10地区の米山学友会による共同開催という形で行われ、学友や現役奨学生、ロータリー会員など、日本国内外から1,209人が登録する大きな大会となりました。
 米山へのご寄付のほとんどはロータリー会員からのものですが、実は学友も、この事業を支えてくれているのです。米山学友からの寄付金は、累計約1億2,700万円にのぼります。
 中でも、中国出身でアメリカに住む周順圭さんは、米山奨学会に日本円に換算して6,885万円の寄付をされました。また、台湾出身で日本にお住まいの張忠信さんは、2021年に100万円の寄付をして、2023年にはさらに1,000万円の寄付をしてくださいました。

★奨学生に関わる危機管理
 米山奨学生は、ほとんどが成人しているとはいえ、外国から来て勉学に励む学生です。彼らや彼女らの安全について、常に気にかけてくださいますようお願いします。
 危機管理については、特にいま皆様、ハラスメントに関してはいろいろなところでお聞きになっていると思いますが、もし世話クラブをされる場合は、ハラスメントには十分注意をしていただきたいと思います。